2019年現在、大阪府の中古マンション市場はまさにバブル状態。しかし今年は相場価格が大きく変動する年になる可能性が高いとも言われているんです。
大阪は特に、大阪万博開催の決定や各地の再開発、外国人観光客の増加などにより、全国的に見ても2019年以降の価格推移が大きいと予想される地域。今回は、大阪のマンションの今の相場価格とともに、今後の予想を徹底解説していきます。
目次
□大阪府全体の価格相場情報
まずは大阪府全体の価格相場の推移を見てみましょう。
(出典:国土交通省)
こちらのグラフは、大阪府の「不動産指数」の推移を表したものです。
不動産指数ってなに?
不動産指数は、不動産市場価格の動向を表すものとして国土交通省が毎月発表しています。基準値を100とした場合、今の時期は価格がどれくらい高騰しているのかな?逆に下がっているのか?ということを数値化したものです。
上記のグラフの基準値は「2010年の平均値」。この値を100としています。
今はバブルだったっけ???そんな感じはしないけど…
上昇を始めているのは、2013年頃からですね。
このときに何が起こったか、わかりますか?
グラフを見て一目瞭然なのは、赤のマンションの指数が2013年頃からうなぎのぼりということですよね。2013年頃からの上昇はその他の物件種別にも見られますが、マンションの上昇率は飛び抜けています。2013年から2018年までの5年間で、大阪府のマンションの不動産指数は40%ほど上昇しているんです。
なぜこれほどまでの高騰が見られているのかというと、2013年に起こった出来事が起因しています。
2013年はどんなことが起こった年か覚えていらっしゃいますか?
まず1つは、日銀による金融緩和政策が始まった年。
そしてもう1つが、2020年夏のオリンピックの開催地が東京に決まった年なんです。
アベノミクスの「三本の矢」の1つである金融緩和政策により、住宅ローン金利は下がり続け、かつてないほどの低金利になっています。金利が低いということは、住宅ローンを組む場合、返済額が少なくなるということですから、不動産を買う方の背中を押す大きな一因となるんですね。
そして東京オリンピック開催の決定は、さらにマンションの価格高騰を後押ししています。それはオリンピック開催が決まったことにより、日本国内の投資マンションの人気が高まったため。
国内の投資家もですが、特に中国や台湾、香港などアジア圏の投資家たちは、2013年頃からこぞって日本の投資マンションを購入しています。
オリンピック施設が多くある東京豊洲エリアが人気の中心ですが、割安感のある関西地域のマンションにもその人気は飛び火しています。
また東京オリンピックの関連施設の建設や新築マンションの建設ラッシュのため、物理的に建設費用や人件費、資材費が高騰しているということも、マンション価格の高騰につながっているといえるでしょう。
新築マンションの需要や価格が高騰すると、
・新築マンションは高くて買えない
・中古マンションもこれから価値が上がりそうだ
と考える人が増え、中古マンションの価格も高騰します。
さらに2019年10月に控えた消費税10%への増税も、今のマンション価格の高騰を後押ししているといえるでしょう。まさに今のマンション市場は、新築・中古ともにバブル状態なんです。
それでは続いて、大阪府の中古マンション価格の推移はどうなっているのか見てみましょう。
■大阪府中古マンション価格推移
(出典:近畿レインズ)
2013年、大阪府全体のマンション価格の成約平米単価は25万円前後で推移していました。それが2018年末には35万円前後で推移しています。平米単価が10万円変わるということは、70㎡のマンションだったら実に700万円の差がでるということです。数字を見てみると今、大阪府のマンションはバブル状態だというのが実感できるのではないでしょうか?
□大阪府の各地域の相場推移を見てみましょう
ここからは、さらに地域を絞って相場価格の推移を見ていきましょう。見ていただけるとわかりますが、今、大阪府ではどの地域も例外なく、中古マンションの価格相場が高騰している時期だといえます。
■大阪市内中心6区の成約平米単価の推移
大阪市の中心、中央区・北区・西区・福島区・天王寺区・浪速区は、やはり平米単価は府内で最も高水準。2013年からの上昇率も高いのが特徴です。
(出典:近畿レインズ)
大阪市中央6区の2013年から2018年の推移
35万円/㎡→60万円/㎡(およそ1.7倍)
2013年始めは35万円/㎡ほどで推移していましたが、昨年末にはなんと60万円/㎡前後に。これほどまでの上昇率は、全国的に見ても著しいものがあります。70㎡のマンションだったら、単純に考えて2013年当時より1,500万円以上高く売れる計算ですからね。
大阪市全体では、成約価格が12四半期連続で上昇を続けており、2018年7月~9月期には2000年以降最も高い水準を記録しています。
やはり東京23区や大阪市の中心地などの都心部は、不動産市場の動向がダイレクトに反映される場所です。ただ上昇率が大きいということは、下降に転じたときの反動が怖いともいえます。
特にタワーマンションなど、投資用マンションが多い地域は要注意です。相場価格が下降に転じれば、投資家たちは株を売りさばくのと同じようにマンションを手放します。
つまり居住用マンションに比べて、売るのに躊躇がないということです。大阪市中央6区のマンションをご所有の方は、特に今後の動向に敏感になるべきです。
■大阪市内18区の成約平米単価の推移
(出典:近畿レインズ)
大阪市18区の2013年から2018年までの推移
25万円/㎡→33万円/㎡(1.3倍以上)
大阪市中央6区以外の18区のマンション価格相場は、現在35万円/㎡弱という水準で推移しています。
現在の大阪市中心6区に比べると低い水準ですが、6年前の中心6区とほぼ同じ水準ですからやはり驚異的な数字です。2019年以降は、再開発が多く計画されている大阪市中心部~西部のマンション価格高騰に期待ができます。主な再開発計画については、後述で詳しく説明しますね。
■大阪府北部の成約平米単価の推移
(出典:近畿レインズ)
大阪府北部の2013年から2018年までの推移
25万円/㎡→35万円/㎡(およそ1.4倍)
大阪市北部(池田市、箕面市、豊中市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市、三島郡、豊能郡)は、2018年7月~9月期に近畿レインズ発足以来、最大の中古マンション成約件数を記録しています。平米単価も大阪市18区と同じか少し高い水準で推移しているので、大阪府の中でも好調な地域といっていいでしょう。
■東大阪市を含む大阪府東部の成約平米単価の推移
(出典:近畿レインズ)
大阪府東部の2013年から2018年までの推移
20万円/㎡→25万円/㎡(およそ1.25倍)
大阪府東部(門真市、守口市、枚方市、寝屋川市、交野市、大東市、四條畷市、東大阪市、八尾市、柏原市)の平米単価の推移は、その他の地域に比べると上昇率は小さいように見えますよね。しかし平米単価にして5万円の差があるということは、70㎡のマンションだったら350万円の差が生じるということ。このエリアにおいても、売り手市場だというのは間違いありません。
特に東大阪市は相場価格が高く、特徴は築年数の浅いマンションの取引価格が高額ということ。2018年末時点で、築5年以下のマンション価格の平均は40万円/㎡を超えています。
■堺市を含む大阪府南部の成約平米単価の推移
(出典:近畿レインズ)
大阪府南部の2013年から2018年までの推移
17万円/㎡→22万円/㎡(およそ1.29倍)
大阪府南部(堺市、高石市、河内長野市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、富田林市、大阪狭山市、南河内郡、岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、泉南市、阪南市、泉北郡、泉南郡)は、大阪府では一番相場価格の低いエリアです。しかしこのエリアにおいても、5年間で1.3倍近い相場価格の上昇が見られています。まさに大阪府全体が、マンションバブルだということがわかりますよね。
特に堺市は、このエリアの中でも相場価格が高い傾向があります。堺区のマンションの2018年末の中古マンション売り出し価格の平均は、30万円/㎡を上回っています。
□大阪の主要マンションの相場価格
続いては、大阪府でも人気が高いマンションの相場価格を見てみましょう。過去の成約平米単価とともに、2018年末時点の売り出し価格を比較してみてください。やはり人気の高いマンションは、近年の平米単価の上昇率も大きい傾向があります。
2018年12月現在の販売m2単価
75.7万円/㎡~250万円/㎡
住所 | 大阪市北区本庄西1丁目 |
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交通 | 大阪市谷町線 「天新橋筋六丁目駅」 徒歩5分 |
階層 | 44階 |
築年月 | 2017/1 |
総戸数 | 501戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年12月 | 74.7万円/㎡ |
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2017年7月 | 74.1万円/㎡ |
2017年5月 | 68.2万円/㎡ |
2018年12月現在の販売㎡単価
44.7万円/㎡~47.4万円/㎡
住所 | 大阪府大阪市鶴見区諸口6丁目 |
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交通 | 大阪市長堀鶴見緑地 「横堤駅」 徒歩3分 |
階層 | 13階 |
築年月 | 2011/8 |
総戸数 | 203戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年6月 | 40.6万円/㎡ |
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2018年12月現在の販売㎡単価
61.3万円/㎡~65.7万円/㎡
住所 | 大阪府大阪市天王寺区上汐3丁目 |
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交通 | 近鉄大阪線 「大阪上本町駅」 徒歩2分 |
階層 | 15階 |
築年月 | 2005/2 |
総戸数 | 92戸 |
構造 | SRC |
過去の成約m2単価
2017年3月 | 45.5万円/㎡ |
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2018年12月現在の販売㎡単価
50.1万円/㎡
住所 | 大阪府大阪市東住吉区桑津2丁目 |
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交通 | 阪和線 「美章園駅」 徒歩5分 |
階層 | 13階 |
築年月 | 2012/2 |
総戸数 | 75戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年4月 | 44.3万円/㎡ |
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2018年12月現在の販売㎡単価
52.0万円/㎡~53.0万円/㎡
住所 | 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋4丁目 |
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交通 | 大阪市谷町線 「阿倍野駅」 徒歩3分 |
階層 | 12階 |
築年月 | 1999/7 |
総戸数 | 41戸 |
構造 | SRC |
過去の成約m2単価
2017年6月 | 39.6万円/㎡ |
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2018年12月現在の販売㎡単価
56.5万円/㎡~88.5万円/㎡
住所 | 大阪府八尾市龍華町1丁目 |
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交通 | 関西本線 「久宝寺駅」 徒歩1分 |
階層 | 41階 |
築年月 | 2011/2 |
総戸数 | 705戸 |
構造 | SRC |
過去の成約m2単価
2017年10月 | 53.9万円/㎡ |
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2017年6月 | 45.1万円/㎡ |
2017年4月 | 55.7万円/㎡ |
2018年12月現在の販売㎡単価
36.2万円/㎡~36.7万円/㎡
住所 | 大阪府吹田市千里丘北 |
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交通 | 東海道本線 「千里丘駅」 徒歩15分 |
階層 | 17階 |
築年月 | 2013/1 |
総戸数 | 633戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年11月 | 34.5万円/㎡ |
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2018年12月現在の販売㎡単価
31.1万円/㎡~31.7万円/㎡
住所 | 大阪府東大阪市稲田三島町 |
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交通 | 片町線 「徳庵駅」 徒歩12分 |
階層 | 11階 |
築年月 | 2008/2 |
総戸数 | 217戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年4月 | 27万円/㎡ |
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2017年3月 | 27.3万円/㎡ |
2018年12月現在の販売㎡単価
60.8万円/㎡
住所 | 大阪府茨木市大池1丁目 |
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交通 | 阪急電鉄京都線 「茨木市駅」 徒歩9分 |
階層 | 12階 |
築年月 | 2011/2 |
総戸数 | 279戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年7月 | 48.6万円/㎡ |
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2017年6月 | 53.3万円/㎡ |
2017年2月 | 49.2万円/㎡ |
2018年12月現在の販売㎡単価
38.3万円/㎡
住所 | 大阪府堺市北区長曽根町 |
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交通 | 大阪市御堂筋線 「新金岡駅」 徒歩8分 |
階層 | 15階 |
築年月 | 2011/2 |
総戸数 | 119戸 |
構造 | RC |
過去の成約m2単価
2017年12月 | 31.1万円/㎡ |
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□マンションの価格診断は確実に売れる価格か?
そうですね。
自分のマンションの資産価値を知ることは、この時期、特にしておいた方がいいと思います。
でも「価格診断」の信ぴょう性についても考えることが必要ですよ。
「このエリアでこれだけ相場価格が上昇している」
といっても、あなたのマンションにその数字が当てはまるとは限りません。それはマンションによって駅からの距離や築年数、需要などが異なるからです。今の時期、従来の価格より高く売れる可能性は非常に高いですが、それは「あなたのマンション」の過去の成約事例や相場情報を確認してから判断できるものです。
だけどよくある価格診断は、類似マンションが「今売り出されている価格」を参考値にしているから、あなたのマンションが「いくらで売れるか」の判断に利用するのは危険だといえます。
売り出されている価格で売れるとは限らないし、「類似」にも幅がありますからね。
先生のおっしゃる通り「類似物件」が「今売り出されている価格」を参考値にした価格診断は、「自分のマンション」が「売れる価格」には直結しない可能性が高いんです。
しかし当サイト、イエサテの「簡単相場チェック」は、あなたのマンションの過去の成約事例をもとに「今売ったらいくらで売れるか?」を診断するシステムを採用しています。しかも大阪府のマンション全てに適応。根拠となる成約事例は、不動産会社が査定するときに用いる不動産業者専門の情報サイト「レインズ」から抽出したものなので、不動産会社の査定額に近い数字が期待できるんです。
なによりイエサテの簡単相場チェックは、個人情報の入力不要+無料でご利用いただけます。もちろん売却を具体的に考える場合には、マンションの階数や劣化状況、需要などを専門的な観点から査定しなければなりません。そのため相場チェックはあくまで目安にはなりますが、その中でも信ぴょう性の高い数字が期待できるイエサテの簡単相場チェックをぜひご利用ください。
□2020年問題後の大阪の不動産への影響について
「2020年問題」って聞いたことありませんか?簡単にいうと、2020年を目安にマンションを含めた不動産の相場価格が暴落するのではないかと危惧されている問題です。
その要因になると考えられているのは次の3つです。
■2020年問題の引き金になると考えられるもの
① 東京オリンピックの終焉
2013年からのマンション価格高騰の一因にもなった東京オリンピック。やはりこのビッグイベントが終了することで、日本全体の活気が落ち、建設費用は従来のものに戻り、都心からも人口が減っていくことが、不動産価格に大きな影響を与えるのではないかといわれているんです。今の需要の高まりは「オリンピック特需」なんていわれることもありますが、「特別な需要」だからこそ起因しているものが終わったときの反動が怖いですよね。
② 消費税増税
今までに何度か消費税が増税していますが、増税後は必ず「買い控え」が起きます。それは不動産業界でも同じです。しかも今回は段階的に増税されたり、増税が延期したりで、「増税前」という期間が長かったんですね。この間に不動産を「買ってしまおう」、「建ててしまおう」と考える人はいっぱいいたので、不動産業界は活性化していました。その反面10%に上がりきってしまうと、今までの買い控えとは比にならないほどの冷え込みも予想されます。
増税後の買い控えの対策として住宅ローン減税の延長なども決まっていますが、一般の人は不動産を1度買ってしまえばその後何年も買わないものですよね。消費税増税は、時期的に考えても不動産相場価格を下降に転じさせる起爆剤にもなりかねません。
③ 投資用マンションの一斉放出の懸念
2013年に東京オリンピックの開催が決定してから、特に投資用マンションの人気が高まっています。それがマンション市場全体の相場を高騰させているといっても過言ではありません。投資用マンションは、売却益が高まる時期を見定めて売却されます。好立地なマンションを買った人は、十中八九、今の時期に売れば売却益は出るでしょう。しかし投資家たちは売却益だけでなく、それにかかる税金も含めて最大の利益となるときを見極めているんです。
日本の税制では、不動産の所有期間が5年以下か5年超では売却益にかかる税金が大きく異なります。5年以下だと39%が、5年超だと20%が課税されるので、投資家は「所有期間5年超」というのは絶対死守したいところ。ただし「所有期間5年」の考え方が少し特殊で、「満5年」ではなく「売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超のもの」となっています。
つまり2013年~2014年に購入された投資用マンションの売却益にかかる税率が下がるのは、2019年1月1日~なんですね。このとき購入された全てのマンションが売りに出されるわけではありませんが、税率が下がるのを待ちわびていた投資家たちは2019年から一斉に売却する可能性もあります。
■2020年問題の大阪の不動産への影響は?
不動産価格は、需要と供給のバランスによって決まるものです。今のマンション価格高騰は、まさに「特需」。本来、今の大阪は決して不動産バブルを形成できるような状況にはないんです。
国土交通省によると、大阪の空き家率は14.8%。意外にも全国平均13.5%を上回っている水準です。しかも大阪に多い空き家は、マンションだという統計もあります。また国勢調査によると、大阪府の人口は2015年から減少しています。
不動産の需要と供給を考えると、大阪府のマンション市場のバランスは崩壊している、もしくはこれから崩壊していくのは間違いありません。しかも今の大阪府のマンション価格高騰は、投資用マンションの人気上昇も大きく影響しています。つまり「実需」ではないんです。
今の不動産バブルが「実需」ではなく「特需」である限り、「特需」を形成しているものがなくなれば不動産価格は下落します。政府による政策などによりすぐに暴落する可能性は低いものの、中長期的に見て大阪のマンション価格の水準は基本的に下がっていくものと考えるのが自然です。今の高騰が下降に転じるきっかけとなるのが、「2020年問題」という可能性が高いということなのです。
□万博前後の地価予想
2025年の万博会場が、大阪・夢州(ゆめしま)に決定しましたね!
大阪万博の公式HPによると、万博の開催期間は2025年5月3日~11月3日の185日間。想定来場数は約2,800万人、経済波及効果(試算値)は約2兆円にも及ぶと推測されています。東京オリンピックの開催から5年後ではありますが、日本の成長を持続させるものとして大きな期待が寄せられています。偶然なのか必然なのか、前回の1970年大阪万博のときも1964年東京オリンピックの6年後の開催でした。
大阪に住む人やこれから大阪の不動産を売買しようとしている人が気になるのは、イベント成功の行方だけでなく万博前後の不動産相場ではないでしょうか?
■夢州とは?
まずは、夢州がどんなエリアなのか知っておきましょう。
夢州は、此花区の西に位置する人工島です。2008年に招致していた大阪オリンピックの選手村予定地として注目されていたエリアです。それが招致失敗。そこからおよそ10年間は、ソーラーパネルの設置とコンテナターミナルとして利用されるだけの島になっていました。
そもそも夢州は、万博開催が決まる前から府や市によってまちづくり構想がされていた地域です。まちづくりのコンセプトは、「新たな国際観光拠点の形成」。万博開催は、夢州のまちづくり構想の一環という位置づけでもあるんですね。万博開催とともにコンセプトの柱となっているのは、統合型リゾート=IRの形成です。要は、カジノ施設を中心としたエンターテインメント機能を夢州に集めようという構想です。
(出典:大阪市)
大阪府によると、万博開催を含めた夢州まちづくり構想のスケジュールは上記の通りです。IR事業のスタートは、万博に先駆けた2024年を目指しています。大阪万博が終わったあとは、万博会場をIRの一部として転用しようと考えているようです。
大阪府はまりづくりのための建設投資額だけでも8,240億円を見込んでおり、そこに万博のための建設費用やインフラ整備にかかる費用等も必要となると、IRと万博はまさに大阪を国際都市として確立するためのビッグプロジェクトだといえます。
■鉄道の延伸計画
(出典:大阪市)
夢州での万博開催決定とIR構想により、3つの路線が延伸や乗り入れを検討しています。
① JR桜島線
JR桜島線は2022年度までに桜島駅から夢州までの延伸が検討されており、実現すれば大阪駅からUSJを経て、夢州まで直通で行けることになります。観光客の流れや万博時の輸送のメインになる路線になることが予想されます。
② 京阪中之島線
大阪市の中心を走る中之島線も、中之島駅から夢州までの延伸を計画しています。中之島線は京阪本線に乗り入れているため、延伸が実現すれば夢州から京都まで乗り換えなしでいくことができるということ。万博や統合型リゾートから京都を巡る外国人観光客の足となる路線になることが期待されます。ただ中之島駅から夢州までは距離があるので、延伸にかかる費用や期間が懸念事項となります。
③ 地下鉄中央線
延伸が確実視されているのが、地下鉄中央線コスモスクエア駅から夢州までのルート。延伸が実現すれば、奈良方面、近鉄への乗り入れも予想されます。
コスモスクエア駅がある咲洲は夢咲トンネルでも夢州と結ばれており、今後、宿泊施設や高層マンションなどの建設ラッシュが続くと予想されます。
■万博によって地価は上昇するのか?
万博開催を含めたこれからの数年間は、まさに大阪の人と物の流れが大きく変わるとき。それに伴って地価の上昇やマンション価格の高騰にも期待できます。ただそれが大阪府全体に広がるとの期待を持つのは、少し慎重になるべきだといえます。
むしろ地価の上昇は、夢州に隣接した此花区などの湾岸エリア、また夢州まで乗り入れる3路線の沿線エリアに限った局所的なものではないか、という見方も強いんです。
大阪万博開催の決定は、少なくとも大阪全体の相場価格上昇にはつながるんじゃないの?
ここからは「万博が大阪全体の不動産価格の上昇させる」と考えるのは危険だという4つの根拠を示していきますね。
① 東京オリンピックの経済効果には遠く及ばない
大阪万博の経済効果の試算は、およそ2兆円だとお話しましたね。一方、東京オリンピック準備局が発表している2020年東京オリンピックの経済効果の試算値は32兆円。ここにまず圧倒的な差があるんですね。「オリンピック」と「万博」では、世界的な注目度も違いますし、東京と大阪では人口や県内総生産が大きく異なるため、不動産価格に東京オリンピックほどの影響は出ないのではないかとの見方が強いんです。
そもそも今は、マンションの相場価格が著しく高騰している時期。万博開催決定によって相場価格の下降が緩やかになる、局所的にはさらに高騰が続くという可能性はありますが、大阪全体の相場価格がさらに高騰するとは考えにくいです。
② 愛・地球博のときに目立ったマンション価格の高騰は見られなかった
日本でおこなわれた万博は、名古屋の愛・地球博が記憶に新しいのではないでしょうか?といっても2005年の開催ですから、まもなく15年が経過しようとしています。
愛・地球博は当初入場者数を1,500万人と見込んでいましたが、蓋を開けてみれば2,200万人が来場し、経済効果は1兆円を超えたといいます。ただ万博前後は栄市や名古屋駅周辺など局所的に地価上昇は見られたものの、愛知のマンション相場価格に目立った変化は見られなかったんです。
(出典:中部レインズ)
2005年は、愛知万博とともに中部国際空港の開港という大きな出来事があった年です。それにしては、2005年前後に際立ったマンション価格の高騰は見られませんよね。やはり万博開催やインフラの整備は、一時的・局所的な相場価格高騰は見込めるものの、市全体、県全体、そして長期的な相場価格高騰に直接影響を与えるとは考えにくいのです。
③ 万博とIR事業の共倒れになることも懸念される
愛知万博で目立った相場価格の高騰が見られなかったとはいえ、今回の大阪万博はIR事業との相乗効果に期待ができます。ただしそれはどちらかの事業が倒れれば、共倒れになるというリスクをはらんでいるということです。
府や市はIR事業に対し、夢州のインフラ開発や万博開催の財源の役割にも期待しています。また2019年後半に決定予定のIR事業者には、地下鉄延伸のための予算200億円の負担を求めています。つまり万博の財源は、IR事業の成功ありきの部分が多いということ。IRで思ったような集客ができなかった場合、万博へのマイナス面での影響は避けられません。
2つのビッグプロジェクトが同時進行することで、建設業者や人手が不足することや、夢州への投資額が巨額になるためそれだけリスクも増大することも懸念されます。
④ 2025年前後に今のような「追い風」はない
今のマンション価格高騰は、2013年ころから始まったものです。2013年には東京オリンピック開催が決定したので、それが高騰の直接的な要因となっているようにも見えますよね。ただ実は、2013年から始まった日銀による金融緩和政策の方が、今のマンション価格高騰に強く影響しているといわれているんです。
また消費税が5%から8%になったのは、2014年4月。そしてそこから10%への増税は延期が続き、ようやく2019年10月の見通しとなっていますよね。つまり2013年頃からずっと「消費税の増税前」という状況が続いているということです。このような状況も、価格高騰に拍車をかけているといえます。
今のマンション価格高騰はオリンピックだけが影響しているのではなく、複合的な要因が追い風となっているわけです。2025年には今のところ消費税は上がりきっているはずですし、今のような低金利状態が続いているとは限りません。むしろ「追い風」どころか空き家問題や人口の減少、生産緑地の一斉解除などが「向かい風」となって価格高騰を妨げる可能性があります。
□大阪の今後の再開発について
これからの大阪はまさに再開発ラッシュ。再開発地区周辺は、今後、地価やマンション価格が高騰する可能性が高いです。
◆なにわ筋線計画
新大阪、梅田、中之島、難波を結ぶ「なにわ筋線」が、2031年の開業を目指して2021年から着工予定です。大阪市を南北につなぐ同線により、大阪都心から関西国際空港のアクセス時間が大幅に短縮されます。
「北梅田」、「中之島」、「西本町」、「南海新難波」の4つの新駅周辺の地価が上昇することが期待されますが、特に中之島駅周辺には注目です。現在、京阪中之島線の中之島駅から梅田までのアクセスはバスに限られています。これがなにわ筋線によって梅田駅まで1駅に。京阪中之島線は夢州までの延伸も計画されているため、中之島駅周辺の不動産価格高騰はもはや決定的ともいえます。
◆うめきた2期地区
「大阪最後の一等地」ともいわれる、JR大阪駅北側の再開発地区うめきた2期の開発事業者が昨年決定。2020年秋着工開始、2024年の開業を目指しています。
1期は複合ビル郡「グランドフロント大阪」として開発済みですが、2期は規模がさらに大きく、都市公園、オフィス、商業施設、民間宅地など複合型の「まちづくり」としての開発が計画されています。
大阪駅直結という好立地な上、2023年にはうめきた2期の地下にJR西日本の「北梅田駅(仮称)」の開業が予定されており、2031年になにわ筋線の乗り入れも予定されています。
うめきた2期に隣接する福岡地区は、平成30年地価公示価格でも前年度から7.5%の上昇がみられていますが、今後さらなる不動産価格上昇が見込まれます。
◆インバウンド向けのホテル建設ラッシュ
日本は、全国的に外国人観光客(インバウンド)が増加しています。特に大阪の伸び率は著しく、大阪府によると日本全国の2017年のインバウンド2,800万人のうち、38.7%に及ぶ1,100万人が大阪を訪れているといいます。近年、大阪では観光客の受け皿となるホテルの建設ラッシュが続いています。万博開催の決定やIR事業を見据えて2019年以降もホテルの建設計画は多くあります。
ホテル建設が多いのは新大阪や心斎橋、日本橋、福島駅、なんば、梅田エリアなどの商業地。近年、大阪の地価は上昇傾向にありますが、インバウンド向けのホテルが集まる商業地の高騰が中心なんですね。
一方、住宅地の地価は、少子高齢化や人口減少、空き家の増加などによって一等地以外のエリアではなかなか上昇しないというのが現実です。2022年には都心部に多くある生産緑地が一斉に解除し、宅地化されることも懸念されており、今後ますます利便性の高いエリアに需要が集中することが考えられます。
□[総論]2019年大阪のマンション相場
大阪は万博や再開発によって、周辺の相場価格がこれから高騰する可能性はあります。しかし万博開催は2025年。IR事業開始は2024年。その他、各地の再開発が終わるのも2024年~2031年と、まだ少し先なんです。またインフラ整備などによって地価に影響が出るのは短期的なものではなく、中長期的なもの。そのため2019年にまず気にすべきなのは、住宅ローン金利の推移や消費税増税によるマンション相場への影響だといえます。
「2020年問題」といわれているため、つい「今の高騰は2020年までは続く!」と思ってしまいがちです。でも実際のところは「2019年問題」といってもいいほど、2019年中にマンション価格が下降に転じる可能性は十分考えられるんです。
・オリンピックの関連施設が大方終わる2019年中には、建設費や人件費の高騰が収まり、マンション価格が下落し始める
・2019年10月の消費税増税は、マンション価格暴落の起爆剤になりかねない
・2019年から投資用マンションが一斉放出される可能性も
…このように2019年は目先の懸念事項がたくさん。少子高齢化や人口減少、空き家の増加など潜在的な問題によって、ひとたびマンション相場価格が下降に転じれば万博開催や再開発などで恩恵が受けられる場所を除いて再び回帰できる見込みはありません。
2019年は、大阪をはじめ全国的にマンション相場価格の推移の分岐点にもなりえる年。市場動向に注視し、売り手市場のうちにマンションを売り切ってしまうことが大事だといえます。
■大阪のマンションの査定依頼は「イエサテ」にお任せ下さい!
マンション相場が大きく変動する可能性が高い2019年は、特にご所有のマンションの資産価値を知ることが重要になってきます。
「価格診断」によってマンションの価格の目安を知ることはできますが、市場動向の小さな動きには対応しきれません。
ではどうやって資産価値を把握するのか?というと、不動産会社に査定してもらうことにつきます。ただしどんな不動産会社でもいいというわけではなく、土地や戸建てではなくマンションの売却に自信があり、なおかつその地域に特化していて、経験も実績も豊富な不動産会社でなければ信用できる査定額を知ることはできないんです。
不動産会社ってたくさんあるけれど、あなたのマンションを高く、確実に売ってくれる不動産会社って実際には多くはありません。
見当違いの不動産会社に査定をお願いしても、査定額が実際に売れる額とは大きくかけ離れていたり、専門外やエリア外だったりして、無駄足になってしまうこともあります。
査定依頼で大事なのは、次の3点を満たす不動産会社にお願いするということです。
・マンション売却を得意としているのか?
・マンションのある地域に特化しているのか?
・売主目線になった提案や配慮をしてくれるのか?
資産価値を把握する以前に、この3つを満たす不動産会社を探すのが非常に大変なんですね。
ただし、もしあなたのご所有している不動産が大阪府のマンションであれば、イエサテがあなたに代わって不動産会社の選定いたします!
どういうことかというと、まずイエサテは、①大阪と兵庫のマンションの査定依頼にのみ対応しています。そしてイエサテから査定依頼できるのは、②各エリアで経験の豊富さと、実績の高さを厳選した結果選ばれた不動産会社です。さらに③当サイトの理念である「売主ファースト」の意向に賛同いただける不動産会社にしか参画してもらっていないんですね。
この3つって、査定依頼する不動産会社に求めるべきものと同じですよね。つまりそれは、イエサテから査定依頼することで不動産会社を探す手間が省けるということなんです。
もちろん査定依頼は「価格診断」とともに無料。この時期にあなたのマンションの資産価値を把握するために、ぜひイエサテをご利用ください。