マンションの売却には、4ヶ月~半年ほどかかるのが一般的です。この間に何がおこなわれるのか、把握できていますか?マンション売却の流れを知っておくのは、不安を解消するとともに、売却を優位に進めていくためでもあるんです。
今回は、マンション売却の流れを9つのステップで解説していきます。
目次
□Step.1 相場の確認
マンション売却の最初のステップは、自身で相場を確認することです。
「いきなり不動産会社へ・・・?」
そんなこと考えていませんか?
でも不動産会社に行く前に、自分で相場を確認することはとっても大切なことです。
それはあらかじめ、「どれくらいで売れるか」を把握するため。
最初に売却できる目安を知ることで、
・ローン残債と比較⇒本当に売却することができるかの判断
・不動産会社が出す査定額に騙されない⇒よい不動産会社かの判断
ができるのです。
だから「不動産会社に行く前」に、この工程を踏むのが重要になってくるのですよ。
住宅ローンが残っている場合は、基本的に完済しなければ売却することができません。
「売却金額+自己資金」でローンが完済できるかどうかは売却の可否にもかかわってくるので、「どれくらいで売れるか」は最初に把握しておかなければならないんです。
ただし例えば自己資金がほとんどなく、ローン残債が2,000万円あるマンションの場合、相場価格が2,000万円だからといって安心してはいけません。
それはマンションの売却には諸費用がかかるからです。
諸費用とは、仲介手数料や登記費用、繰り上げ返済手数料などです。これらの費用は、売却金額の3.5%~4%ほどがかかるといわれています。
そのため相場価格とともに把握しておくべきなのは、手取り額がいくらくらいになるのか。ローンの完済に足りない分は自己資金が用意できるのかも併せて確認し、売却できそうなのか、難しいのかを最初に判断する必要があります。
ローンが完済できる見込みがない場合は、「任意売却」という一般的な売却とは違う方法が取れる可能性もあります。「売ることができない…ローン返済も苦しい…」なんてときにも不動産会社にその旨を伝えて、早めに対処するようにしましょう。
ではここからは、マンション売却の相場を知るため方法を具体的に説明していきます。
■相場を確認する方法
不動産には「定価」がありません。売主が自由に価格を決めることができます。でも例えば、同じマンションの同じような広さの部屋が最近3,000万円で売れたのに、あなたのマンションだけが5,000万円や6,000万円で売れることはないでしょう。
価格が自由に決められるからといって、周辺の事例を無視した価格に設定すれば買い手はつきません。近隣で現在売り出されている似たような条件の物件や、過去に成約した物件の情報をもとに価格を算出する方法を「取引事例法」といいます。
取引事例法は、不動産会社が物件を査定する主流の方法です。不動産価格を算出する方法として、他にも「収益還元法」と「原価法」の2つがあります。簡単にいうと、収益還元法は不動産の賃料から価格を算出する方法。原価法は、対象となる不動産を「もう一度作るとしたらどれくらいかかるか」をもとに算出する方法です。
この2つの方法は、投資物件の相場や不動産の持つ価値を確認したりする場合には有効的です。しかし不動産を売るときには、市場動向や需要と供給のバランスなども価格に反映すべきだといえます。
そこで登場するのが、取引事例法です。先述通り、取引事例法は類似物件の価格をもとに相場価格を算出する方法です。「今この価格で売り出されている」、「最近この価格で成約にいたった」というタイムリーな情報は、今の市場動向と需要・供給のバランスが反映されたもの。そのため類似した条件のマンションの売り出し価格や成約価格の情報を抽出することで、「相場」というものが見えてくるんです。
ではどうやってその情報を抽出するのかというと、意外と簡単。それぞれ次のサイトから確認することができます。
・類似物件が今いくらで売り出されているのか⇒不動産ポータルサイト
・類似物件が最近、いくらで取引されたのか⇒レインズ・マーケット・インフォメーション
では具体的な確認方法を説明していきます。
■不動産ポータルサイトを確認
まずは類似物件が「今、売り出されている価格」を確認するには、SUUMMOやHOME`S、at homeなどの不動産ポータルサイトを利用しましょう。
まず類似物件を抽出しますが、「類似」の考え方は「駅からの距離」と「築年数」が同等のものです。「広さ」については抽出段階でこだわる必要はありませんが、あなたのマンションがファミリー世帯向けのマンションなら、ワンルームや1LDKなど単身者向けのマンションは参考にしないほうがいいですね。
類似物件が抽出できたら、続いてそれらの物件の平米単価を割り出します。例えば60㎡のマンションが3,000万円で売りに出されていれば、そのマンションの1㎡あたりの金額は50万円です。各マンションの平米単価を出していくと、各々が近い金額になっているはずです。その平均を取るか、類似物件の中でも条件の近いマンションの平米単価を採用し、あなたのマンションの平米数に乗じます。
例えば抽出した物件の平米単価の平均が50万円で、あなたのマンションが70㎡だとしたら、「50万円×70=3,500万円」が、売り出し価格から算出する相場価格になるわけです。
ただし売り出し価格から算出した相場は、あくまで売り出す際の金額の参考になるもの。実際に成約にいたる金額より、1割前後高い金額だという認識を持つようにしましょう。
■レインズの成約事例をチェック
続いては、類似物件が過去に成約した事例を確認します。SUUMOやHOME`Sで確認できればいいのですが、残念ながら不動産ポータルサイトは売り出し中の物件しか検索できません。成約事例を確認するなら、「レインズ」の情報を得るのが一番です。
レインズとは?
国土交通大臣から指定された全国4つの公益法人によって運営されている、不動産情報ネットワークシステムです。レインズは、加入している不動産業者しか閲覧することができません。仲介業をおこなう不動産会社は、ほぼ100%加入しています。
不動産会社がレインズをどのように使うのかというと、売主担当は物件情報の登録、買主担当は物件情報の検索のために使います。業者専門の不動産ポータルサイトのようなものだと思えばわかりやすいかもしれませんね。
不動産ポータルサイトとの違いは、業者専門という点とあと1つ。成約にいたった情報も登録される点です。「この物件が、いつ、いくらで成約した」という情報は、「成約事例」として、物件を査定するときや市場動向を探るときに用いられます。
レインズは一般の人が閲覧することができないサイトですが、成約事例に限っては一般公開されている「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトで確認することができます。
まずトップページで、物件種別とおおまかな地域を選択。続いての画面で詳細を入力すると、次のような検索結果を得ることができます。今回は実際に、「兵庫県灘区」、「ファミリータイプ(ワンルームや1LDKなどを除く)」、「築5年以内」のマンションの成約事例を抽出してみました。
まずはこのような分布図が表示されます。青の点が直近1年の神戸市全体の成約事例、緑が灘区の成約事例、赤が詳細検索の事例となっています。このグラフでは、単価に開きがありますね。
続いて下にスクロールすると、このような表が表示されます。例えば売りたいマンションが「麻耶駅から徒歩5分~10分のマンション」だったら、赤枠で囲った5件の成約事例が類似物件のものなので参考にできます。ここでも多少の開きはありますが、今回の検索条件だと、坪単価の相場は大体50万円前後と予想することができます。
■「イエサテ」なら簡単にマンションの相場がわかります!
相場を事前に確認するのは、本当に売ることができるのかの判断、不動産会社のよしあしの判断をするためには非常に重要です。そのためここまで長々と相場の確認方法のお話をしてきました。
でも実は、当サイト「イエサテ」なら、もっと簡単にマンションの相場を確認することができるんです。
イエサテではご利用者様に代わってレインズの成約事例を抽出し、マンション名や専有面積、所在階などを入力すれば簡単に相場価格が表示されるシステムを構築しています。大阪・兵庫の全てのマンションに対応しており、相場価格の簡単チェックは無料+匿名です。
「売却するかわからないけど、どれくらいで売れるのか知りたい!」
「自分で相場の確認をするのはめんどくさそう…」
なんて方も、ぜひイエサテの相場価格簡単チェックをご利用ください。
でもね、相場の算出方法とともに、「マンションの相場は誰でも簡単に確認することができる」ってことを知って欲しかったんです。
相場の確認は売主だけでなく、買主もおこなっているものです。
相場からあまりにもかけ離れた金額にすると、買主から見向きもされなくなってしまうから注意が必要ですね。
□Step.2 査定依頼
さて相場を確認することができたら、次のステップは不動産会社に査定依頼することです。
査定依頼は、単に査定額を知るためだけのものではないのですよ。
査定依頼を通して、その不動産会社を査定することが最大の目的ともいえますね。査定依頼したときの対応や査定額、査定額の根拠の説明に納得して、信頼できると判断できた不動産会社に売却を依頼するべきですね。
では具体的な査定依頼の方法を見ていきましょう。
■机上査定と訪問査定の違い
不動産会社に依頼する査定方法には、「机上査定」と「訪問査定」の2つがあります。
机上査定は実際にマンションの中を見ない机上の査定なので、簡易的な査定にとどまります。一方、訪問査定は読んで字のごとく、実際に不動産会社の担当者がマンションを訪問して査定。そのため机上査定より、精度の高い査定結果を得ることができます。
マンションは築年数や立地で大方の価値が算出できますが、リフォーム歴や劣化状況によっても価格には違いが出てくるので、最終的には訪問査定が必要になります。机上査定の位置づけとしては、「一次オーディション」のように考えるといいでしょう。
・まず多数の不動産会社から一次オーディションである机上査定でふるいにかける
・その後、最終オーディションと位置づける訪問査定の結果によって、実際に売却を依頼する不動産会社を決める
という流れで選定していけば、スムーズに不動産会社を決めることができます。最初からたくさんの会社に訪問査定を依頼すると、対応するのが大変ですからね。
査定依頼する目的は、査定額を知るとともに不動産会社を見極めること。こちらはオーディションの審査員のごとく、厳しい目で不動産会社を査定してください。
■査定依頼も「イエサテ」にお任せ下さい!
でもどんな不動産会社に査定をお願いすればいいかわからないんですが…
「家から近いから」、「大手だから」いいってものではないのですよ。
査定依頼は、闇雲にすればいいというものでもありません。
あなたのマンションの売却を得意にしている不動産会社に依頼するべきです。
先生がおっしゃるように、査定依頼をする不動産会社はどこでもいいというわけではありません。「女優オーディション」なのに、男優や子役が来たら審査対象にもなりませんよね。同じように、あなたのマンションが居住用のマンションであれば、土地や戸建を得意にしていたり、投資物件を専門に扱っていたりする不動産会社に査定依頼しても無駄なんです。
また不動産会社が専門とするエリアは、想像以上に狭いものです。不動産会社って各駅に必ず1軒はありますよね。「こんなにたくさん不動産会社があってどうすんだ」ってくらいに。でもそれは、不動産会社の専門エリアが狭いことの現れでもあります。「隣の市区町村は専門外」なんてことも不動産会社にはよくあるんですよ。
例えばあなたのマンションが「神戸市灘区の居住用マンション」だったら、神戸市灘区を専門エリアとしていて、なおかつ居住用マンションの取引が多い不動産会社を見つける必要があるということです。
今はね、「一括査定サイト」っていう便利なものがあるんです。
それを活用して不動産会社を探すべきですね。
特にあなたが売ろうとしているのが、大阪・兵庫のマンションだったら「イエサテ」から査定依頼するのがおすすめですよ!
一括査定サイトとは、売りたいマンションの情報や個人情報を入力すると、一度に複数社へ査定依頼をできるサービスを提供しているものです。査定依頼は完全無料とあって、マンションなどを売りたい人が、不動産会社にファーストコンタクトを取る方法として利用するのが主流になっています。
売りたい人はいちいち不動産会社に足を運ぶ必要がありませんし、複数社の比較もできるとあって大変便利なサービスです。でも実は、便利なのと同時に難点が3つほどあるんです。
それは、
・査定依頼をした不動産会社からの営業がしつこい
・エリア外、専門外の不動産会社に依頼してしまう
・高額査定をもとめてしまうということ。
多くの一括査定サイトは、500~1,000社というたくさんの不動産会社が参画しています。そして日本中、全てのエリアに対応しているものです。一見するとこれらはメリットのように思えますよね。
でも1,000社近くの不動産会社全てが優良企業だといえるでしょうか?
日本中の不動産会社が参画していることって、たった1つの不動産を売りたい売主にとって本当にメリットっていえるのでしょうか?
高額査定をもとめることに、なんの意味があるのでしょうか?
当サイト「イエサテ」は、従来の一括査定サイトのこのような疑問や難点を解消すべく、売主にとって本当に有益なサイト作りをしています。「有益」なことを目指した結果、イエサテは、大阪・兵庫エリア限定、マンション限定の査定サイトを構築するにいたりました。エリアと物件種別を絞ることで、このエリアでマンションを売る人が不動産会社に査定依頼をする際にご利用頂くには最良のサイトだと自負しております。
イエサテに参画している不動産会社は、全社がマンション売却を得意としており、大阪・兵庫の各地域での実績と信頼度の高さは折り紙つきです。なぜかって?それは運営側が実際に実績のある不動産会社に足を運んで、サイトの目的である「売主ファースト」と「専門性の高さ」に納得してもらってから参画を決めてもらっているからです。高額査定を餌に集客する会社も、しつこい営業を続けるような会社もいません。査定依頼してみたら、「マンションの売却に対応していなかった」「エリア外だった」なんてことももちろんありません。
査定依頼の段階は、まだまだマンション売却の流れの序盤。ここで時間をかけたり、ストレスを感じたりするようなことがないよう、ぜひイエサテから査定依頼してください。
□Step.3 不動産会社の決定
査定依頼をしたら、今度こそ売却を依頼する不動産会社を決定する工程になります。
「Step.3」ですが、マンション売却の実際のスタートラインはここ。不動産会社次第でマンション売却が成功するか否かが決まるといっても過言ではありません。あなたが不動産会社の決定までにすべきことは、
- 一般媒介か専任媒介かを決めて、1社に依頼するか複数社に依頼するかを決める
- 「囲い込み」や売主の利益を考えない、悪質な会社じゃないか見極める
- 担当者をチェック
などなど。マンション売却において最重要ともいえる不動産会社の選び方や見極め方は、これで絶対に損しない!マンションを売却するときに必ず知っておくべき不動産会社の選び方にまとめてありますので確認してみてください。
□Step.4 売り出し価格を決める
無事に不動産会社を決めることができたら、続いては売り出し価格を決める工程です。
不動産会社に「売却をお願いします」と依頼する契約を媒介契約といいます。媒介契約書には売却を依頼する期間や物件の詳細とともに、その不動産の売り出し価格も明記されます。つまり媒介締結をするのと同時に、売り出し価格を決める必要があるということです。
売り出し価格は、相場や査定額を参考に決めることになりますが、おそらく次のようなことで悩んでしまうはずです。
・相場通りでいいの?
・相場より高く売りたいけど、どれくらい高く売り出すべき?
・1、2ヶ月で売りたいんだけど、どのような価格にするべき?
これらの疑問点が生じるのは、マンション売却の初心者であれば当然。ここからは価格設定のポイントとなる知識や、どのように売り出し価格を決めるべきかを説明していきます。
■売り出し価格と成約価格の違い
3,000万円で売ることに決めました!
売りたい価格と相場が一致しているんだし、何がいけないのでしょうか?
あなたがこの額で売り出すと決めても、買い手がこの額で購入を決めてくれるとは限らないのです。
むしろ売り出し価格から「値引き交渉」されるのが、不動産売買では一般的です。
だから売り出す段階で、「売りたい価格」にしてはいけないのですよ。
先生のおっしゃる通り、「売り出し価格」と実際に「成約にいたる価格」には開きがあるのが一般的です。それは、不動産売買界の慣例のようなものが影響しています。
不動産の売り出し価格は、いわば「値札」のようなものなんです。買主はここから一定のディスカウントをもとめてくるのが一般的です。値引き交渉される割合はその人の予算などもあるので一概にはいえませんが、「端数捨て」や5%前後の値引きを求めてくるケースが多いです。
例えば2,980万円で売り出されているマンションに対し、端数捨てならば2,900万円。さらに強気だと2,800万円ほどで申し込みを入れてくる買い手もいるでしょう。ただ売り出し価格以下の金額を提示されたとしても、応じるか応じないかは売主次第です。「そんな価格なら売らないよ」ともいえますし、「2,950万円でどうでしょう?」などと提案することもできます。
ただ「びた一文もまけない!」というのは、価格交渉が一般的な中、少し融通が効かない対応ともいえます。そのため売り出し価格は、あらかじめ価格交渉分を加味しておくのがいいということです。
また売却期間中は、なるべくなら価格を下げたくはないですよね。でも価格変更ってその物件の注目度を高めるにはかなり効果的。価格を変更した直後は、問い合わせ数や内覧希望数が一気に増えます。そのため売り出しから一定期間後に、再度注目度を高めるための価格変更をする前提で売り出し価格を決めるのも1つの戦略です。
「相場通り」や「売りたい金額」で価格を決めてしまうと、こちらの手の内がゼロになってしまうんです。もちろん売り出し価格で売れるのが一番ですが、その保証が無い以上、「価格交渉に応じられる」、「価格変更もできる」というカードを手中に収めておくことは、売却活動を進めていく上でも必要なことだといえます。
■売り出し価格を決めるには「3つの価格」を決めよう
「売りたい金額+αの価格に設定すべき」という話をしましたが、具体的に売り出し価格を決めるには、次の「3つの価格」を決め、そこから売却スケジュールを立てることをおすすめします。
まず売主が決めるべき3つの価格は以下の通りです。
1.売ることができる価格
2.売れる見込みのある価格
3.売りたい価格
1つずつ説明しますね。
1、 売ることができる価格
例えば「ローン残債がある」、「最低限、買い替え先以上の金額で売らなければならない」などの場合、売らなくてはいけない下限額があるはずです。このような事情がない場合でも、「この金額以下なら売らない」、「この金額にすれば売れるだろう」という金額があると思います。まずはそこを明確にしましょう。
2、 売れる見込みがある価格
売れる見込みがある価格とは、不動産会社による査定額や相場価格のことです。
3、 売りたい価格
最後にあなたが希望する価格を決めます。ただし2,000万円の査定額に対して3,000万円など、現実的ではない数字はNGです。先述したように、価格交渉分や価格変更を前提とした金額~相場価格の1割増し程度、チャレンジで2割増しまでがやっとといった具合でしょう。
■おおまかな「売却スケジュール」を立てる
ではここから3つの価格を使って、売却スケジュールを立てる工程に入ります。
時間的余裕がある場合は、「3つの価格」の内の「売りたい価格」を売り出し価格にするのがいいでしょう。ただし「売りたい価格」は相場より高い金額です。この金額のまま3ヶ月も4ヶ月も粘るのはおすすめしません。買い手のニーズと合致した金額であれば、2、3ヶ月あれば成約にいたるものだからです。
一番好条件で売れる可能性のある手順は、以下の通りです。
「3つの価格」の内、「売りたい価格」で売り出す
↓
反響次第で、「売れる見込みのある価格」に近づける
↓
それでも売れない場合は、「売ることができる価格」に徐々に近づける
売却スケジュールを立てる真意は、「もっと高く売れたかもしれない…」、「どこまで価格を下げ続けなきゃいけないんだろう…」という後悔や不安をなくすためです。さらに上記の手順に期間の目安を加えることで、より具体的な売却スケジュールを立てることができます。
例えば「半年の内に売り切りたい!」というのなら、「売ることができる価格」まで価格を下げるのは4~5ヶ月目までにするべきでしょう。とすると、逆算して「売れる見込みのある価格」にするのは2~3ヶ月目くらい。「売りたい価格」で売り続けるのは1~2ヶ月ほどにした方がいいな。など、どんどん売却スケジュールが出来上がっていきます。
一方「1ヶ月で売らなきゃいけない」なんてときは、最初から「売ることができる価格」に近い金額にする必要がありますし、「3ヶ月で売りたい」ときは、「売りたい価格」にするのは数週間で切り上げた方がいいでしょう。
売り出し価格は、あなたが売りたいと思う金額とともに、売却にかけられる期間も考えて決めるべきです。そのため「3つの価格」を決め、売却スケジュールを立てることで、適切な売り出し価格とその価格を維持すべき期間が見えてくるんです。
もちろん実際に価格を下げるタイミングは、そのときの反響数や内覧希望数にもよります。スケジュールはあくまで予定ではありますが、「次の一手」がわかっていると余裕をもって売却活動に臨めるはずです。
□Step.5 売却活動開始
売り出し価格を決めたら、いよいよ売却活動が開始されます。ここで売主がすべきことは、物件情報がきちんと公開されているのかの確認と、買い手がマンションを見に来るときに備えることです。
■レインズや不動産ポータルサイトへの登録を確認
売却活動が開始されたら、レインズとSUUMOやHOME`Sなどの不動産ポータルサイトへの登録状況を確認しましょう。
レインズは不動産業者しか閲覧することができないので、実際にサイトを見て登録状況を確認することはできません。レインズに物件を登録すると不動産会社に「登録証明書」が送付されてきますので、それを提示してもらって登録の確認をしましょう。
レインズへの登録は、専任媒介なら媒介契約締結から7日以内、専属専任媒介なら5日内にされる規定があります。一般媒介の場合は登録の義務や期間の定めはありませんが、売主が登録を希望する場合は行政指導によって登録することが推奨されています。
一方、SUUMOやHOME`Sなどの不動産ポータルサイトへの登録は、売主がサイトにアクセスすれば確認することができます。登録自体を確認するのはもちろん、登録内容についても以下の点を見てみましょう。
・マンションの外観や室内、眺望の写真が登録されているか
・登録されている写真は鮮明か
・登録されている写真は生活感が出ていないか
・物件情報に誤りはないか
・物件をPRできているか
今は、買い手が自ら不動産ポータルサイトにアクセスして購入物件を吟味します。ここでの情報の魅せ方は、問い合わせ数や内覧希望数に直結するものです。他のマンションと比較して十分に魅力が伝わる内容か確認し、不満がある場合は不動産会社にその旨を伝えるようにしましょう。
■内覧に備える
売却開始とともに売主が取り掛かるべきことは、買い手が内覧に来るときに備えることです。
マンションを事前に見ずして、購入を決める人なんていませんよね。内覧は、「内覧者」を「買主」にするための重要ポイントです。成功の秘訣は、いかに内覧者に「広い」、「綺麗」という印象を与えるか。ここ次第で売却にいたる可能性がグッと上がるとわきまえ、よりよく魅せることを徹底しましょう。
ただ居住しながら売却する場合は家具や家財がありますから、印象をよくするというのも難しいですよね。でも次の3つのポインと意識するだけで、内覧での印象はガラリと変わるもの。重点的に気をつけて内覧に備えましょう。
1、 物を減らす
まずは売却を決めたら、家にあるあらゆる物を減らすことを徹底すべきです。物が多い家は生活感が丸出しになるので、内覧者は新生活がイメージしにくくなります。また物が多いと、実際の広さより狭く見えるものです。マンションの売却前に不要な物を処分すれば、ご自身の引越しの苦労も減るはずです。リサイクルショップの出張買取サービスを利用したり、不要なものをまとめて行政の粗大ゴミセンターに持っていったりすれば、お金や手間もあまりかかりません。
2、 玄関
掃除はくまなく隅々までおこなうべきですが、玄関は特に綺麗にしておくべきです。玄関は内覧が始まる場所であり、終わる場所。少しの間、玄関に立ち止まって世間話なんかもするかもしれません。そのため内覧者の印象に一番強く残る場所だといえます。
3、 水回り
水回りが汚いと、「不潔」のイメージを持たれてしまいます。水垢を落とす、シンクを磨くとともに、洗面所やお風呂の鏡はピカピカに磨きあげましょう。
「おもてなし」の心は相手にも伝わるはずです。
□Step.6 内覧対応
内覧の希望は、売却期間中いつでも入る可能性があります。でもやはり希望が入りやすいのは、土日祝日。売却期間中はできるだけ長期旅行などは避け、全ての内覧希望に対応できる努力をする必要があります。「内覧なくして売却はなし」です。
内覧の直前には窓を開けて空気の入れ替えをし、匂いや温度にも気を配りましょう。
内覧中は、内覧者に積極的に話しかけたり、後をついて回ったりするのは禁物。できる限り存在感を消すくらいのつもりで臨むべきです。内覧者には新生活をイメージしながら見てもらうのが一番。対応は不動産会社の担当者がしてくれるので、あなたはリビングでじっと待つなど、でしゃばり過ぎないようにしましょう。
内覧が10件も20件もあるのに、なかなか成約にいたらないのもまた問題です。
「内覧の数が少ない」、「多いのに決まらない」というときには、価格を下げたり、魅せ方を工夫したりする必要がありますね。
□Step.7 購入希望者との価格交渉
内覧の結果、購入を希望してくれた買い手から購入申し込みが入ります。「Step4.売り出し価格を決める」でお話した通り、買い手は売り出し価格より安い金額で購入申し込みをしてくるのが一般的です。
でも値引きをもとめる買い手の真意は、「ダメもとで交渉してみよう!」なのか「本当にその価格でしか購入できない」のかわかりません。そのため価格交渉は、買い手と売主の駆け引きであり心理戦だといえます。
例えば3,000万円の売り出し価格に対して2,800万円の購入申し込みがあった場合、全く値引きしなくても購入を決めてくれるケースもあれば、値引きに応じない結果、購入を断念されてしまうケースもあるということです。そこからさらに交渉が続いて、最終的に2,900万円で決まるなんてこともあります。
購入申し込みがあったときに、問い合わせも内覧希望もたくさんある状況なら大幅な値引きに応じる必要はないでしょう。しかし「半年経ってやっと入った購入申し込み」、「内覧希望もあまりない」なんてときには、ある程度の交渉には応じるべきだといえます。
ケースバイケースではありますが、「2,980万円に対して2,950万円」「3,200万円に対して3,180万円」くらいの値引き交渉ならば応じた方がスムーズに、気持ちよく契約にいたることができます。そのため売り出し価格にはある程度、価格交渉分を加味しておくのがいいというのは前述の通りです。
□Step.8 契約
価格が決まれば、やっと売買契約の運びとなります。売却活動の開始から契約にいたるまでの期間は、平均すると3ヶ月ほど。ここからさらにマンションの引渡しと残代金決済まで、1ヶ月ほどかかります。
とはいえ売却を開始すればトントン拍子にすぐ契約にいたることもあるので、準備できるものはあらかじめ手元に揃えておきましょう。
■売買契約に必要なもの
・印鑑証明(3ヶ月以内に取得したもの)
・実印
・登記済証または登記識別情報通知書
・固定資産税納付書
・マンションの管理規約や使用細則
・マンションの管理費と修繕積立金がわかるもの
・ローン残高証明書
・預金通帳
・仲介手数料の半金
・印紙代
■売買契約の流れ
売買契約は、基本的に所有者本人が署名・捺印する必要があります。ただし委任状があれば、代理人でも契約は可能です。時間的には、2時間前後はかかると思っておいた方がいいでしょう。多少順番が前後する可能性もありますが、契約の流れは以下の通りです。
売買契約の流れ
重要事項説明(売主は立ち会わない場合も)
↓
売買契約書、設備表の説明
↓
売買契約書への署名・捺印
↓
手付金の授受(売買代金の5%~10%ほど)
↓
仲介手数料の支払い
↓
引渡しまでの流れの説明
■引渡しまでにすべきこと
売買契約から引渡しまでは、1ヶ月ほどかかるのが一般的です。なぜそんなにも時間がかかるのかというと、買主の住宅ローンの本審査を通す必要があるからです。本審査の通過は売買契約から2週間前後でわかるので、そこから引渡し・残代金決済日を決めます。引渡し日までに売主がすべきことは次の3つです。
・引越し
・ライフライン、火災保険等の解約
・住宅ローン残債がある場合は金融機関への連絡
引渡しまでに完全にマンションを空にするのが基本ですが、カーテンや空調設備、ガスコンロなどは買主との話し合いの上、置いておくこともあります。新居で使わないのなら、買主に「置いていきましょうか?」と聞いておくのが親切かもしれませんね。
電気、ガス、水道の解約は新居への移転手続きがあるので皆さん忘れないのですが、火災保険は加入していることすら覚えていないケースが多いです。保険料は解約すれば戻ってくることもありますので、手続きを忘れないようにしましょう。
また住宅ローンの残債がある場合は引渡し・残代金決済の日取りが決まったら、その日時を借入先に速やかに連絡する必要があります。残代金決済をもってローンの完済ができるので、金融機関側も抵当権抹消などの手続きが必要になるからです。
□Step.9 引渡し・残代金決済
さぁいよいよマンション売却の最終ステップ、引渡し・残代金決済です。まずは当日必要なものから見ていきましょう。
■引渡し・残代金決済に必要なもの
・印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)
・実印
・登記済証または登記識別情報通知書
・預金通帳
・仲介手数料の残金
・司法書士への報酬
・玄関の鍵全て
・あれば宅配ロッカーの鍵
■引渡し・残代金決済の流れ
引渡し・残代金決済は売主、買主、両者の不動産会社とともに司法書士が同席し、平日の午前中、買主が住宅ローンを借り入れる銀行でおこなわれるケースが多いです。銀行が空いているのは平日の15時までなので、それまでに着金確認できるよう午前中に買主が残代金を振込み、その日中に確実にマンションの引渡しができるようにします。
引渡し・残代金決済も契約時と同様、委任状があれば代理人が代わって務めることができます。ただし引渡し・決済をもって完全に所有権が移転されるので、当日、所有者が同席しない場合は、事前に司法書士が売主本人と接見するなどし、本人確認と売却の意思の確認をされることがあります。引渡し・残代金決済の流れは、概ね次の通りです。
引渡し・残代金決済の流れ
登記書類への署名・捺印
↓
買主から売主へ残代金の授受
↓
売主のローン完済手続き
↓
管理費や固定資産税等の精算
↓
仲介手数料の支払い、司法書士への支払い
↓
鍵の引渡し
↓
引渡し完了証への署名・押印
引渡し日に合わせて日割り精算した額は、このとき買主から受領することができます。
■引渡し後にすべきこと
マンションを売却し、引渡しまで完了したからといって、まだまだ気は抜けません。
売主は多くの場合、引渡しから2~3ヶ月間「瑕疵担保責任」を負います。簡単にいうと、引渡し後に物件にトラブルが発生した場合、売主が修繕などの責任を負わなければならないということです。マンションに多いトラブルは、窓からの入水や排水管のつまりなどです。
瑕疵担保責任が及ぶ範囲は、契約前に売主から買主に告知されなかったトラブル。つまり事前にわかっている不具合は、買主にその事実を伝えることで責任を負う必要はなくなるんです。
また契約時には、「売主の瑕疵担保責任の免責」を特約とすることもできます。ただその場合は、買主が購入自体を渋ったり、売買代金の値下げを要求してきたりすることも考えられます。瑕疵担保責任の扱いについては、契約前に買主や不動産会社とよく話し合っておく必要があります。
最後になりますが、マンションを売却した翌年には確定申告を忘れないようにしましょう。売却益が出た場合は、マイホームであれば3,000万円まで控除される特例がありますし、逆に売却損が出れば税金還付を受けられることもあります。また住宅ローンを使って新居を購入した場合は、住宅ローン減税も受けられます。
ただしこれらの特例や減税の制度は自動的に適用されるわけではなく、確定申告することが不可欠です。「売却できたー!」と安心することなかれ。マンション売却の終着点は、売却した翌年に確定申告を終えたときです。
□まとめ
マンション売却の流れを9つのステップで解説してきました。ただやはりマンションの売却は相手がいることなので、9つのステップをスムーズに上がっていけるとは限りません。
しかし流れを把握していれば、うまくいかなかったときにも必要以上に焦ることはなく、適切な対策を講じることもできるはずです。